マーケット広場

マーケット広場のお母さん

だんだんと日中の気温が高くなり、本格的な夏が近づいてきましたね。

こんな猛暑日には思い切って、冬のマーケット広場の思い出を少し綴ってみようと思います。

 マーケット広場に足を踏み入れると、そこは冬にぴったりの暖かな色が溢れる世界。赤いベリーのジャムが並ぶ出店、橙色のテーブルクロスが可愛らしいオープンカフェでコーヒーを味わう人々…冷たい空気を感じさせない、幸せな時間が流れています。

 あれこれ目移りしながら進んでいくと、編み物をしながら店先に立つ可愛いおばあさんと出会いました。手作りのニット帽や靴下を売っているのだそうです。

 きっとこれが似合うわよ、と薦めてくれたのは真っ赤なニット帽。きちんと鏡も置いてあるので、試着もできます。試しに被ってみると、予想以上に暖かく、被り心地が良いものですから、購入することにしました。今でも大切にとってあるのですが、この帽子を見るたびにおばあさんの可愛らしい笑顔が瞼に浮かびます。

 冬のヘルシンキは、人々のあたたかい暮らしが肌で感じられるようでとても好きです。身を切るような冷たい風も、真っ白な雪も、それを受け入れて楽しんでいる光景があります。

 フィンランドで暮らす人々は、ゆっくりと、静かに冬を過ごします。だからこそ、短い夏を思いっきり満喫するのでしょう。

 私もクーラーの効いた部屋にこもっていないで、夏の暑い日差しを楽しまなければ、と思う日々です。